Kerényi, Ádám (2024) コルナイのソフトな予算制約 : 概念と関連するものの妥当性. JOURNAL OF COMPARATIVE ECONOMIC STUDIES, 19. pp. 16-27. ISSN 1880-411X
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Abstract
ハンガリーで最も著名な経済学者であるヤーノシュ・コルナイは,2021年10月18日に逝去された。本稿は,彼の理論のひとつに焦点を当てたものである。ヤーノシュ・コルナイが 50 年前に生み出した用語は,ソフトな予算制約症候群(SBCS)である。「予算制約」というタームはミクロ経済学の専門用語から借用しているが,「症候群」は医学からである。予算制約が資本主義では「ハード」に,社会主義では「ソフト」になりうるというのである。このアイデアは社会主義時代の経験に端を発しているが,「ソフトな予算制約」はソ連や東欧の用語からではなく,主流派経済学の専門用語に由来するものである。SBCS 症候群がその行動に現れる可能性のある予算制約型組織は多くの種類が存在する。家計,企業,非政府組織(NGO),営利企業とは関係のない投資プロジェクト,国家機構の中の明確な姿をとっている地方政府組織(LGO または自治体),その他の公的資金を提供する機関,国家レベルまたは連邦・連合レベルに含まれる中央政府などである。SBC イベント(単一のトラブルによる救済)と SBC シンドロームとは区別する必要がある。SBCS の多くのバリエーションに共通する大きな特徴は,関係するすべての組織の行動が,深刻な財政問題に陥った場合に救済されるという期待に影響されていることである。そのメカニズムがソフト予算制約症候群であり,本稿の主なメッセージは,最近の 3つの世界的危機管理,すなわち(i)2008 年の大金融危機,(ii)2020 年のパンデミック,(iii)2022 年のエネルギー危機のすべてを理解するのに役立つという点である。「大きすぎて潰せない」という知恵があまりにも広まり,今や銀行はかなり意識的にその救済を当てにしているのである。パンデミックやエネルギー危機の際,政府は超緩い財政・金融政策を導入した。究極の危険なことは,SBCS によって無謀な支出がニューノーマルとなり,それが財政責任に取って代わることである。
Item Type: | Article |
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Uncontrolled Keywords: | ソフト予算制約,救済,モラルハザード |
Subjects: | H Social Sciences / társadalomtudományok > HB Economic Theory / közgazdaságtudomány |
SWORD Depositor: | MTMT SWORD |
Depositing User: | MTMT SWORD |
Date Deposited: | 04 Jun 2024 12:18 |
Last Modified: | 04 Jun 2024 12:18 |
URI: | https://real.mtak.hu/id/eprint/196454 |
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